移住先人気ナンバーワンのマレーシアの生活の魅力とは

2017/08/24

この記事の3つのポイント

一年を通して温暖な気候のマレーシアは暮らしやすく、様々な民族や文化のるつぼ
物価が安く日本の食材なども手に入りやすく、また親日家の多い
医療や教育にも力を入れており海外からの移住者が増える一方、経済成長は乏しく高齢化問題なども懸念されている


日本人のロングステイ希望先として11年連続ナンバーワンのマレーシア。今回はマレーシアの魅力に迫ってみます。

温暖な気候と民族の多様性


東南アジアの中心に位置するマレーシアは、マレー半島南部とボルネオ島北部で構成されています。日本との時差は1時間(日本時間マイナス1時間)、直行便では約7時間で行くことができる距離です。

赤道直下で熱帯性気候に属していますが、年間の平均気温は27度前後と、暑くなりすぎません。季節は乾季と雨季に分かれていて、いずれの季節にも「スコール」と呼ばれる短時間に集中する雨が降ります。スコールの後は気温が下がるため、涼しく過ごしやすくなります。

マレー半島はユーラシアプレート上にあって断層から離れているため、地震が起きることはまずありません。また、台風の経路にもなっていないため、自然災害が少ない国です。

マレーシアは複数の民族が共存する多民族国家で、民族構成はマレー系69%・中華系23%・インド系7%となっています。首都のクアラルンプールでは、イスラム教のモスクのすぐそばに、ヒンズー教の寺院やチャイナ・タウンが隣り合っている光景を見ることができます。

公用語はマレー語、国教はイスラム教ですが、ビジネスや生活シーンなどでは英語が共通語として幅広く使われています。また、宗教の自由が保障されているので、仏教やヒンズー教など他の宗教も広く信じられています。

多民族国家のマレーシアでは、多国籍料理を楽しむことができます。特に首都のクアラルンプールでは、マレー料理・中華料理・インド料理だけでなく、西洋料理や東南アジア料理、和食など、幅広く楽しむことができます。

安価な生活費と長期滞在ビザ

国土は33万㎢、日本の9割程度の面積に31.7百万人が暮らしています。在留邦人数は22,774人(2015年)。イオンや伊勢丹などのデパートから回転寿司まで揃っており、日本と同じ感覚で買い物や食事を楽しむことができます。

1981年から22年間首相を務めたマハティール氏が「東方政策(ルックイースト政策)」を掲げ、日本などアジアの価値観を重要視する政策をとったことや、日本からの政府開発援助等もあることから、マレーシアは親日家の多い国です。

首都・クアラルンプールでは、特に列車やバスなどの公共交通が充実しており、タクシーも多数走っていることから、移動は比較的便利です。国内移動は、長距離列車やバスが主な交通手段になります。主要都市間は本数も多く、また20〜30リンギット(1リンギット=約25円)ほどの安価な料金で移動することができます。シンガポールやタイなど、近隣諸国への国際バスも複数出ています。国際線・国内線ともに便数が多く、飛行機での移動も非常に便利です。

シンガポールと隣接するジョホール・バルには、週末になると安い買い物や食事を目的に、シンガポールからたくさんの人が押しよせます。「コンタクトレンズが激安だから買いに行ってきた!」「鼎泰豊(ディンタイホン)のショーロンポーを安く食べてきた!」という声を何度も聞いたことがあります。マレーシアの物価は、日本と比べると3分の1ほどと言われています。シンガポールと比べても安いことから、国境を越えてでもマレーシアに行く人が絶えないようです。

ジョホール・バルのあるジョホール州は、シンガポールから地下鉄の乗り入れが確定していることや、2026年開通予定のクアラルンプール〜シンガポール間の高速鉄道によって、今後ますます注目を集めるエリアとなりそうです。

マレーシアには住民税や相続税がないため、日本と比べると税制面において有利といえます。また、「MM2H(Malaysia My 2nd Home) Programme」と呼ばれる外国人向けの長期滞在ビザは、経済的な条件をクリアすることで取得可能なため、日本人の取得は他国と比べて比較的容易となっています。

高水準の医療と教育

マレー半島の西側、ペナン州の州都ジョージタウンは、イギリス植民地時代の街並みを残す歴史的なエリアで、世界文化遺産にも登録されています。ペナンでは「メディカル・ツーリズム」に力を入れており、周辺諸国から医療目的の滞在者を積極的に受け入れています。ここでは、欧米や日本と比べて安価ながら、高水準の医療を受けることができます。

2012年、英国王室・キャサリン妃の卒業校でもある英国の名門校「マルボロカレッジ・マレーシア」の分校がジョホール州に開校。2014年には、同じく英国の名門校「エプソムカレッジ・マレーシア」の分校が、クアラルンプールの郊外に開校しました。教育移住先としてマレーシアの人気が高まっています。

経済成長の鈍化と高齢化の進行

2010年3月にマレーシア政府は中期経済開発計画を発表、2020年までに国民総所得を倍増させ、世界銀行の「高所得国」定義レベルに引き上げることで先進国入りすることを掲げています。目標の達成に向け、さまざまな国家プロジェクトが進行中です。

実際、マレーシアのGDPは約12,290億リンギットを超え、年間成長率は4%と比較的高い水準を維持しています。失業率も3%前後と、低い水準で推移しています。一方、2014年から3年間の経済成長率を比較すると、6%から4%へと徐々に減速してきており、今後の経済成長の鈍化が懸念されます。

現在、マーレシアの平均年齢は28歳と若く、人口の年間増加率は1.5%。2040年には人口が41.5百万人と、30年間で1千万人以上の増加を想定しています。ただし、2040年の平均年齢は38歳、65歳以上の比率は現在の約2倍である14%と、今後は人口の増加だけでなく高齢化も予想されています。

次回は…

ロングステイ先としてダントツの人気を誇るマレーシア。温暖で自然災害の少ない立地や安価な生活費、長期滞在ビザの取りやすさなどの理由から人気を集めているようです。

次回は、マレーシアについてより踏み込んだ内容をご紹介する予定です。引き続きお付き合いください!

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