日本人がマレーシアで不動産を購入する時の注意点

2017/12/04

この記事の3つのポイント

外国人に対して開放的な不動産政策(購入価格が一定以上、州政府の合意取得)
外国人が購入できる物件の最低価格や戸数は地域により異なる
ビザのない外国人が不動産物件を自分の名義で購入することが可能

▶前回の記事:政治・経済からみた投資環境(マレーシア編)

前回はマレーシアを政治と経済、および人口の観点からご紹介しました。今回は、マレーシアで外国人が不動産を購入することについて、詳しくご紹介します。

不動産購入の条件

マレーシアは、基本的に外国人に対して開放的な不動産政策を取っています。外国人の不動産所有に関する主な規制は、以下の2点です。
・購入価格が100万マレーシアリンギット(RM1=約27円)以上の物件であること
・物件の位置する州政府の合意を取得すること

上記の基準を満たす物件であれば、戸数の制限なく取得することができます。例外的に、セランゴール州やペナン州など、外国人が購入できる物件の最低価格や戸数の条件が異なる地域もあることは、留意すべきポイントです。
州政府の合意は弁護士を通じて申請し、数ヶ月で取得することが一般的です。マレーシア人保留地域の物件等でなければ、問題なく合意を取得することができます。
マレーシアでは、現地に滞在するビザのない外国人が、海外から不動産物件を自分の名義で購入することができます。ただし、マレーシア長期滞在ビザ(MM2H:Malaysia My 2nd Home)を持っていた方が、銀行ローンが組みやすかったり、物件取得に関する特典を享受できたりする場合があります。ビザなしでの購入も可能ですが、ビザありでの購入のメリットを考慮した上で、どちらを選択するか決めると良いでしょう。

不動産の種類と特徴

戸建:地元の人に人気があります。特に、専用ゲートと守衛付きの物件が、セキュリテイ上の理由から、富裕層に人気です。戸建の中でも形式によって、テラスハウス、セミデタッチハウス、デタッチハウスなど、複数の種類があります。
コンドミニアム:外国人に人気の高い、日本で言うところの分譲マンションです。プールやジム、24時間体制の警備員などを完備している物件が多く、設備が充実しています。

手続きの流れと注意点

不動産購入の手続きと、その注意点について見ていきましょう。
マレーシアがイギリスの植民地だった影響により、英国式の法制度となっていることから、外国人でも安心して不動産を購入することができます。

新築物件
売り出し開始時のもの、建設工事中のもの、工事完成直後のものなど、開発会社から購入者に所有権が移る前の物件です。新築物件を購入する場合、購入決定時に物件の数%程度を手付け金として支払います。次に、10%程度の頭金を2週間から1ヶ月後までの間に支払い、売買契約書に署名します。その後、工事の進捗の応じて支払うスタイルが一般的です。

中古物件
中古物件を購入する場合、購入決定時に物件の数%程度を手付け金として支払います。次に、10%程度の頭金を2週間から1ヶ月後までの間に支払い、売買契約書に署名します。その後、90日後に残金を支払うスタイルが一般的です。不動産ローンが必要な人は、マレーシアの銀行に依頼してローンを組むことになります。ローンの申請には、本人が銀行に出向いて手続きを行うことを求められる場合が多いそうです。

残金の支払いが完了した後に、所有権移転登記と引き渡しが行われます。

懸念点

マレーシアの不動産市場は、周辺国と比べて価格が低く、相場が安定しており、外国人の所有についても比較的寛容です。一方で、いくつかの懸念点もあります。
外国人の不動産投資について、過去数回にわたり最低購入額の引き上げが実施されてきました。さらに、外国人の不動産譲渡益税も引き上げられました。現在は、取得して5年以内に不動産を譲渡する場合は30%、6年目以降からは5%となっています。不動産バブルや投機的投資を抑制するための措置だと言われています。外国人の不動産取得に関して比較的寛容なマレーシアですが、状況は安定していない状況です。
なお、マレーシア国内には不動産取得税や譲渡税、相続税はありませんが、日本の居住者がマレーシアに物件を持ち、それを贈与したり相続したりする場合は、日本国内で贈与および相続税が発生しますので、ご注意ください。

次回は

日本人のロングステイ希望先として、11年連続ナンバーワンのマレーシア。海外からビザなしでも豊富な不動産物件を購入できることは、嬉しいポイントです!次回は、マレーシアの不動産で人気エリアの紹介と、エリアごとの特徴などを紹介する予定です。引き続きお付き合いください。

▶次回の記事:マレーシア不動産人気エリアマップ