[シンガポール] 西部が成長に向けた体制を整える

2018/11/27

[シンガポール] 西部が成長に向けて体制を整える



シンガポールの西部(ウェスト)が大きな変貌を遂げようとしています。投資家はこのエリアをレーダーに収めたほうがよさそうです。

360ヘクタールのジュロン・レイク地区では、シンガポールの中心業務地区(CBD)外で最大の商業センター、つまり第二のCBDを開発する計画があります。最大160ヘクタールの開発可能な土地があり、ここに100,000の新しい職と、20,000戸の新しい住宅を投入する計画です。

ジュロンが変貌を遂げたのは初めてのことではありません。昔は沼地だったこのエリアは、産業発電所となり、さらに自己完結型のサテライトタウンと、過去50年で大きく変貌してきました。不動産価格は急騰、2018年の取引に基づくと、セントラルエリア以外で国内最高額のコンドミニアムを有するエリアとなっています。

ジュロンは、次のフロンティアを征服するために必要なものを兼ね備えています。ウェストの100万人以上の人口に支えられ、少なくとも5つ(シンガポール国立大学、南洋理工大学、シンガポール科学社会大学、シンガポール・ポリテクニック、ニーアン・ポリテクニック)の高等教育機関から優秀な人材へのアクセスも可能です。

4つのMRT路線(既存の東西線、南北線に加え、今後完成予定のジュロンリージョン線とクロスアイランド線)、さらに、建設にゴーサインが出れば、クアラルンプールーシンガポール高速鉄道(HSR)もでき、このエリアの接続性は並ぶものがありません。HSRのシンガポール側のターミナルはジュロンに予定されているのです。

(出所:シンガポール陸上交通庁


他にも、ジュロンがシンガポールの第二のCBDとなるための相乗効果を引き出してくれるような開発計画がウェストにはあります。例えば、トゥアスの約1,400ヘクタールの土地に、シンガポールの既存の5つのコンテナ港をすべてまとめて新しいメガポートを作る計画がスタートしました。2040年に完了すれば、トゥアス港は世界最大級のコンテナターミナルとなり、その取扱い能力は、6,500万TEU(Twenty-foot Equivalent Unit、20フィートコンテナ換算)となります。


行動の早い者はすでにこの将来のハブとなりうるウェスト周辺に移ってきています。例えば、この将来の港の3キロメートル以内には、トール・グループが、トールシティと呼ばれる100万平方フィート(約92,903㎡)の次世代物流ハブをオープンしました。LOGOSもまた成長中の現代的な食品加工・物流設備をトゥアス・ウェスト・ドライブ21に2019年初に完成させる予定です。


ウェストで具体化しているもう一つのプロジェクトは、600ヘクタールのジュロン・イノベーション・ディストリクト(JID)で、高度製造業、アーバンソリューション、スマート物流など、未来の工場および成長中の会社を呼び込む計画です。イノベーションのリビングラボとして、ラボ内でのアイディアの創造からプロトタイプ、テストベッド、生産から販売まで、バリューチェーンを完結できます。400ヘクタールを超える手付かずの土地が、未来の工場の開発のために利用可能で、JIDが今後30年後に完成すれば、約100,000の新しい職が生まれるとされています。

シンガポールのウェストは幅広い投資機会をかかえて成長に向けた体制を整えつつあります。

(出所:JLL