政治・経済からみた投資環境(ベトナム編)

2017/09/26

この記事のポイント

マクロ経済の安定や経済促進などを優先課題としてかかげるフック首相
GDP成長率は6%強とASEAN諸国の中でも高い成長率を誇る
ASEAN諸国では3番目に人口が多く、2020年には1億人を超える予想

▶前回の記事:ベトナムの生活

前回はベトナムの概要をご説明しました。今回は、特に政治と経済、および人口の観点から詳しくご紹介します。

政治

ASEAN諸国で唯一の社会主義共和国であるベトナム。統治体制は、ベトナム共和党による一党体制となっています。2016年には、国家主席や首相をはじめとした閣僚交代が行われ、国家主席にはチャン・ダイ・クアン公安大臣、首相にはグエン・スアン・フック副首相、国会議長にはグエン・ティ・キム・ガン国会副議長がそれぞれ就任しました。

フック首相は、マクロ経済の安定や経済成長の促進などを優先課題として掲げています。

経済

ベトナムでは、市場経済システムの導入と対外開放化を柱としたドイモイ政策を1986年に採択。この政策に対して賛否両論はあるものの、ベトナムの生活水準向上やベトナム経済の急成長を実現させた、という一定の評価を獲得しているようです。

近年も高い成長率を維持しており、直近のGDP成長率は6%強と、ASEAN諸国の中でも特に高い成長率を誇っています。

次に、ベトナムの経済を指標から見てみましょう。

【一人当たりGDPとGDP成長率の推移】
出所:IMFより作成)


【GDP成長率推移の比較(単位:%)】
(出所:IMFより作成)

近年のベトナムの成長率は6%強。これは発展著しいASEAN諸国の中でも、特に高い水準となっています。2017年以降のIMFによる予想値でも、2022年までGDPの年間成長率は6%強と、高い成長率が継続すると考えられています。

【失業率の推移比較(単位:%)】
(出所:IMFより作成)

2017年以降の数値はIMFによる予想値で、いずれの国も2017年予想値と大きくは変わらない前提となっています。ベトナムの失業率は約2%と、ASEAN諸国の平均と比べて低水準で推移しており、今後も同様の水準が継続すると予想されています。



人口

ベトナムの人口は9千万人強2016年。ASEAN諸国の中ではインドネシア、フィリピンに次いで3番目に人口が多くなっています。平均年齢は30歳日本は46歳、14歳以下の比率は18%日本は12%、65歳以上の比率は10%日本は27%となっており、若い人口が比較的多い国です。


【ASEAN諸国の人口 2016年(単位:百万人)】

順位

国名

人口

1

インドネシア

258.7

2

フィリピン

104.2

3

ベトナム

92.6

4

タイ

69.0

5

ミャンマー

52.3

6

マレーシア

31.7

7

カンボジア

15.8

8

ラオス

7.2

9

シンガポール

5.6

10

ブルネイ

0.4


出所IMFより作成

【ベトナムの年齢別人口推移(単位:百万人)】
(出所:United Nationsより作成)

9千万人を超えるベトナムの人口は引き続き増加が見込まれており、2020年ごろには1億人を超えると予想されています。2050年にかけて人口は増加していきますが、同時に65歳以上の人口増加も予想されています。

【ベトナムの年齢別人口比率推移】
(出所:United Nationsより作成)

2050年にかけて15歳〜64歳の人口比率が減少する一方で、65歳以上の人口比率は増加することが予想されています。2015年に10%だった65歳以上の比率は、2050年には約3倍の30%に近づくペースで高齢化が進むと予想されています。


参考値として、日本の人口構成と推移を見てみましょう。

【日本の年齢別人口推移(単位:百万人)】


【日本の年齢別人口比率推移】
出所:総務省統計局より作成)

日本の人口は、総数が減少していくとともに、65歳以上の人口比率の増加が予想されています。2015年時点で65歳以上の人口の比率は27%、30年後の2045年には+10%強の38%になると予想されています。2015年に10%だった65歳以上の人口比率が、2045年には+15%の25%となるペースのベトナムよりも、日本の高齢化の進行スピードは下回りますが、比率は上回る予想です。

次回は

1億人突破も間近の人口規模と高い成長率を誇るベトナム。これからもベトナムの成長に注目です。
次回は、「ベトナムの不動産を外国人が購入するには」について見ていく予定です。次回もお付き合いください。

▶次回の記事:日本人がベトナムで不動産を購入する時の注意点