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海外不動産の法人化で税金はどうなる?4つの重要ポイントや注意点を専門家が解説

) Hiromu Fujimura |

監修: 不動産のエキスパート 風戸裕樹



「法人で海外不動産を買うと、税金は個人よりも安くなるの?」

「家賃収入が増えてきた……法人化すると税金はどう変わるのかな?」



海外不動産への投資を検討している方や、すでに海外不動産をお持ちの方の中には「法人化すれば節税になる」という話を耳にしたことがある方も多いでしょう。


たしかに、法人と個人では、同じ海外不動産から得た利益でも、かかる税金の種類や税率・計算方法が異なります。


ただし、法人化すれば必ず税金が安くなるとは限りません。


賃料収入を得るのか売却益を狙うのか、利益を何に使うのかによって変わります。


そこで本記事では、海外不動産を法人で所有した場合にかかる税金について、4つのポイントに分けて専門家が解説します。


最後まで読むことで、ご自身の投資目的に合わせて法人と個人のどちらで購入すべきかが分かります。


法人で海外不動産の購入を検討している方や、海外不動産にかかる税金が気になる方は、ぜひご参考ください。



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海外不動産の法人化4つの税金ポイント



海外不動産を法人化した場合の税金ポイントは、以下の4つです。


①賃料収入(インカムゲイン)にかかる税金

②売却益(キャピタルゲイン)にかかる税金

③減価償却と損益通算の扱い

④法人から個人へ資金を移すとき・相続するときの税金


では、ひとつずつ見ていきましょう。


①賃料収入(インカムゲイン)にかかる税金


個人が海外不動産から得た賃料収入は「不動産所得」となり、給与所得など他の所得と合算して総合課税されます。


個人の所得税は累進課税で、所得が増えるほど税率が階段状に上がる仕組みです。


所得税の税率は5%〜45%で、これに復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加算されます。


さらに住民税10%も別途かかるため、高所得の方の場合はかなりの高税率になります。


つまり個人の場合は、本業の給与収入が高い方ほど、海外不動産の賃料収入にも高い税率がかかると言えるでしょう。


一方、法人が海外不動産から得た賃料収入は、法人の所得として法人税等の対象になります。


法人税だけを見ると、資本金1億円以下の一定の中小法人では、所得800万円以下の部分に15%、800万円超の部分に23.2%の税率が適用されます。


これに地方法人税・法人住民税・法人事業税を加えた実効税率は、中小法人の場合おおむね次のとおりです。


・所得800万円以下の部分:約24%

・所得800万円超の部分:約34%


個人の税率と比べると、所得水準が高い方ほど、法人のほうが税率が低くなる可能性があります。


本業の収入が高い方は法人、高くない方は個人というのが、賃料収入に関する基本的な考え方です。


②売却益(キャピタルゲイン)にかかる税金


個人が海外不動産を売却して得た利益は「譲渡所得」となり、給与所得や不動産所得とは分けて分離課税されます。


税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって、次のように変わります。


・長期譲渡所得(所有期間が5年超):所得税15.315%(*)、住民税5% 合計20.315%


・短期譲渡所得(所有期間が5年以下):所得税30.63%(*)、住民税9% 合計39.63%


(*) 基準所得税額に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税(2027年分以後は防衛特別所得税及び復興特別所得税)を含む


本業の収入がいくら高くても、5年超保有した物件の売却益には約20%の税率しかかからない点が、個人所有の大きな特徴です。


法人の場合は、売却益も賃料収入と同じく、法人の所得に含めて法人税等が課されます。


保有期間による税率の区別はなく、短期でも長期でも実効税率はおおむね24%〜34%程度です。


したがって、長期保有して売却益を得ることを目的とする場合は、個人のほうが税負担が軽くなるケースが多いと言えます。


反対に、5年以内の短期売却を想定している場合は、法人のほうが税率が低くなることがあります。


海外不動産は、物価や不動産市況の上昇や為替の影響で、日本の不動産にはない大きな売却益が出ることも少なくありません。


売却益を重視する方は、法人化によって税負担がかえって増えないか、事前に試算しておきましょう。


また、個人の場合は、所有期間だけでなく為替レートも考慮して売却タイミングを判断することが大切です。


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③減価償却と損益通算の扱い


2021年以後、個人が所有する一定の国外中古建物について、簡便法などの短い耐用年数を使って減価償却費を計上します。


その場合に、生じた不動産所得の赤字は、給与所得など他の所得と損益通算できなくなりました。


たとえば、築50年の中古木造戸建ての場合、簡便法による耐用年数は4年(22年×20%)です。


4年で減価償却して不動産所得を赤字にしても、その赤字はなかったものとされます。


なお、損益通算できなかった減価償却費は、売却時の取得費で調整されます。


また、個人の譲渡所得は分離課税のため、海外不動産の売却で損失が出ても、給与所得などとは相殺できません。


一方、法人には国外中古建物の損益通算制限は適用されません。


耐用年数を経過した中古物件を含め、日本の不動産と同様のルールで減価償却費を計上し、法人の他の所得と通算することができます。


さらに、海外不動産の売却損益も、法人全体の損益と通算できます。


つまり、個人に比べて、法人のほうが損益通算できる範囲が広いと言えるでしょう。


なお、新築物件の耐用年数は、法人・個人ともに日本の税法のルールにあてはめて判断します。


海外不動産は日本に比べて建物の割合が高いことが多いため、土地と建物の按分を合理的に行うことも重要です。


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④法人から個人へ資金を移すとき・相続するときの税金


法人が海外不動産で得た利益は法人に帰属します。


つまり、法人内に残して次の不動産購入などに再投資する分には、法人税等だけで済むのです。


しかし、その利益を個人の生活費などに使いたい場合は、役員報酬や配当として個人に移す必要があり、個人側でも所得税・住民税が課されます。


※役員報酬:法人の損金になる一方、個人側で給与所得として課税

※配当:法人税等を支払った後の利益から支払われ、個人側で配当所得として課税


特に配当の場合は、法人側と個人側で二段階の課税となります。


「法人税率が低いから法人のほうが必ず有利」とは限らない、というのはこのためです。


また、法人は赤字であっても、法人住民税の均等割がかかります。


税理士への決算・申告の報酬など、法人を維持するためのコストも含めて比較することが必要です。


個人名義で海外不動産を所有している場合、その不動産自体が日本の相続税の対象になります。


一方、法人名義で購入すれば、個人が相続するのは不動産ではなく法人の株式です。


ただし、株式は非上場株式として評価され、海外不動産の価値はその株価に反映されます。


法人化しただけでは、相続税が安くなるわけではないことに注意しましょう。


法人と個人どちらで購入すべき?



法人と個人で海外不動産の購入を検討するなら「何を重視するか」によって選択が変わります。


賃料収入を重視し本業の収入や税率が高い方は法人、収入はそこそこで税率が高くない方は個人が有利になりやすいです。


また、売却益を重視し5年超の長期保有を前提とするなら、税率約20%の個人が有利になりやすい傾向にあります。


ただし、相続が心配な方は法人で購入するのが無難です。


法人化が向いているのは、本業の収入が高く、海外不動産での利益を法人内に残し、次の投資に回す予定のある方です。


反対に、保有する海外不動産が1件のみで今後も増やす予定がない方・利益を生活費に使いたい方は、個人で購入したほうが税負担を抑えられる場合があります。


海外不動産の法人化を検討する際の注意点



海外不動産は、物件所在地の国でも課税されることが一般的です。


法人・個人ともに、現地で納めた所得税・法人税は、日本の申告で外国税額控除または必要経費・損金として計上し、二重課税を調整できます。


控除できる限度額は、日本の税額のうち、その年の国外所得の割合に相当する額までです。


控除しきれなかった外国税額は、3年間繰り越すことができます。


なお、対象となるのは所得を課税標準として課される税に限られ、固定資産税や消費税などは含まれません。


また、個人で所有している物件を法人に移す場合、個人側で譲渡所得分の課税や名義変更の費用が発生したりします。


単に法人を作れば良いというわけではないため、移転コストも含めて全体像を把握しておくことが必要です。


国によっては、法人名義での不動産購入に規制があったり、現地での法人登記が必要になったりします。


個人に比べて法人のほうが、現地での報酬や諸費用が高くなるケースもあります。


海外現地法人を設立して不動産を所有する場合は、現地の税制に加えて、日本の外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)を検討する必要があることを覚えておきましょう。


さらに国税庁は、国外送金等調書・国外財産調書・各国間の金融口座情報の自動交換(CRS)などから、海外取引を把握しています。


法人・個人を問わず、海外不動産の収入や売却益は漏れなく申告しましょう。


海外不動産の売却を初めて申告する場合は、海外不動産の申告経験のある税理士にレビューを受けることをお勧めします。



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まとめ


今回は、海外不動産を法人化した場合の税金について、4つの重要ポイントや注意点をお伝えしました。


法人で海外不動産を所有すると、賃料収入には累進課税ではなく法人税等がかかるため、本業の収入が高い方ほど税率を抑えられる可能性があります。


また、国外中古建物の損益通算制限を受けないなど、個人よりも損益通算できる範囲が広い点も特徴です。


一方で、5年超の長期保有後に売却する場合は、個人の税率(20.315%)のほうが低くなるケースが多くあります。


法人の利益を役員報酬や配当として個人に移す場合には、個人側でも課税される点にも注意が必要です。


このように、海外不動産を法人化すれば必ず節税になるわけではありません。


賃料収入・売却益・相続のうち何を重視するのか・利益の使い道や保有期間・今後の投資計画などを総合的に踏まえて、法人と個人のどちらで購入するか判断しましょう。


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今回の記事が、少しでも海外不動産投資の参考になれば幸いです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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